最初に断っておくが、当記事は銘柄の株価が今後上昇する事を保証したり、買い推奨したりする性質のものではない。あくまで現状の材料に基づいた個人の私見であり、当記事を参考にして株式売買をした結果として損失が発生しても一切保証出来ない事は留意されたい。
今回は、ANAP (アナップ) (3189)について簡易的に考察して株価動向を予想したい。
業績は芳しくないが、20年6月には1ヶ月で5倍上昇の大化け相場
ANAP (アナップ) (3189)は東証スタンダード市場に所属している。銘柄の概要は、下記の通り。
若年層中心にエイジレスの女性向けカジュアル衣料の製造販売。ネット販売比率高い。
ここ数年の業績は芳しくないが、20年6月に一相場を形成している。6月5日の前場中に出した材料(ANAP【3189】2020年06月05日 開示情報 - 『ANAP オンラインショップ』「メルペイ」を利用して購入した商品を「メルカリ」に簡単に出品できる「かんたん出品連携」機能の導入を開始)を端緒に、当日はストップ高。以降も巣籠もり消費としてネット通販銘柄群が物色された事や、同月22日引け後に追加の材料(ANAP【3189】2020年06月22日 開示情報 - AIの動画解析技術を活用したファッションEC販売向け人物画像/動画切り抜きシステム「Lab pick(ラボピック)」の開発のお知らせ)を出した事等も追い風に、同月30日には一時1,419円と6月始値286円から都合5倍近い短期大化けを達成した。
ただ、以降の株価は尻すぼみ。30日引け後に材株式会社 AS メディカルサポートとの業務提携ネタ(ANAP【3189】2020年06月30日 開示情報 - 当社子会社における業務提携に関するお知らせ)を出すも、短期急騰からの警戒感や信用規制が実施されていた事等もあってか下落。それからの道中は、時折噴き上がる事もあったが、度重なる赤字決算(ANAP【3189】、9-5月期(3Q累計)最終が赤字転落で着地・3-5月期も赤字転落 | 株探ニュース、ANAP【3189】、今期最終を赤字拡大に下方修正、対純資産で58%の赤字 | 株探ニュース)も祟り下落トレンド継続、21年12月2日には274円迄売り込まれた。
昨年末からメタバース・NFTファッション材料攻勢
しかし、同年12月9日の引け後に出した材料(ANAP【3189】2021年12月09日 開示情報 - ANAP、メタバース領域に事業参入。企業の仮想空間参加を支援する、メタバースファッションプラットフォーム「APPARELED Meta connect by ANAP」を発表。)で風向きが180度一転する。以下に一部引用するが、米国マイクロソフト社の名前が挙げられている。
■今後の展開
今後は「「APPARELED Meta connect」のサービス拡充のため、対応可能なメタバース空間を拡げてまいります。例えば、米国マイクロソフト社が 2022 年に提供開始予定としているメタバースサービス、Mesh for Microsoft Teams がサポートを用意しているクロスプラットフォーム SDK を利用して AR、VR、PC スマートフォンなどに順次接続対応していきます。これにより、エンタメ主体のメタバース空間だけでなく、ビジネス領域の仮想空間にもサービスを拡充してまいります。
開示を受けて、前日の終値322円だった株価は翌日翌々日と寄らずの2連続ストップ高。3日目に始値666円で寄り付き、一時は年初来高値を754円迄高猫と短期2倍超えをあっさり達成した。しかし以降は軟調な展開で、27日引け後の開示(ANAP【3189】2021年12月27日 開示情報 - 第三者割当により発行される第4回新株予約権の発行に関するお知らせ)も追い打ちとなり、大納会終値は高値から半値を割り込む362円となった。
だが、今年に入ってメタバースやNFTファッションの材料を複数(ANAP【3189】2022年02月25日 開示情報 - ANAP、NFTファッションアイテムの第一段完売およびセカンドセール開催のお知らせ。、ANAP【3189】2022年03月09日 開示情報 - ANAP、Suishow株式会社と業務提携。~共同でメタバース領域における開発力を強化し事業創出を加速~、ANAP【3189】2022年03月17日 開示情報 - ANAP、ファッションアイテムをメタバース空間で利用可能な形にデジタル変換するサービス提供を開始。)出して来ており、都度株価は反応している。
上場企業との動き顕著、今後更に増えるか
また、今年に入って他の上場企業との動きが顕著だ。今年2月14日引け後に東証グロース所属の東京通信 (7359)及びその子会社との間でアパレル商品を中心に取り扱うライブコマース事業を行う合弁会社の設立ネタ(ANAP【3189】2022年02月14日 開示情報 - 合弁会社設立に関する基本合意書締結のお知らせ)、今月7日引け後には福証Q-Board所属のピー・ビーシステムズ (4447)との共同開発ネタ(ANAP【3189】2022年04月07日 開示情報 - ANAP、株式会社ピー・ビーシステムズと企業向けのプライベートメタバース空間構築事業を共同で開発。)を立て続けに開示。こうなると、今後も他の上場企業との連携なり業務提携なりの絡みが出て来ても何ら不思議でない。ここで、先に触れた開示の一つの中身を見てみたい。
株式会社 ANAP(本社:東京都港区、代表取締役社長:家髙 利康)は、自社のファッションアイテムを仮想空間で利用可能な形にデジタル変換し、企業の参入を支援するメタバースファッションプラットフォームである「APPARELED Meta connect by ANAP」(以下、Meta connect)の提供を開始致しました。
引用:ANAP【3189】2022年03月17日 開示情報 - ANAP、ファッションアイテムをメタバース空間で利用可能な形にデジタル変換するサービス提供を開始。
この「企業の参入を支援するメタバースファッションプラットフォーム」が肝で、興味を示す大企業が現れて僥倖的に当初予想もしていなかったポジティブな意味合いであらぬ方向に進んで行く可能性も当然に排除しきれない。事実、得も言われぬ期待感から開示当日は一時ストップ高迄買われ、惨憺たる結果だった最新決算(ANAP【3189】、今期最終を一転赤字に下方修正、対純資産で34%の赤字 | 株探ニュース)の翌日は寄り付きこそ売り込まれたもの当面の悪材料出尽くし感も手伝ってか一目均衡表の雲下限を目処に反発して陽線引け、その後3日続伸している所を見るに市場の同社に対する期待感は未だ衰えずと言えそうだ。
また、14日引け後に東京通信 (7359)及びその子会社関連の新規材料(ANAP【3189】2022年04月14日 開示情報 - 合弁契約締結に関するお知らせ)を出している事からも、今後も何かしらの進展がありそうな雰囲気は十二分に醸成している。決算も一先ず通過した点、株価は安値圏から反発している点、材料次第では過去に短期大幅上昇の実績がある点等を鑑みれば、事と次第によっては再度の大化け可能性がある。今週金曜日終値は372円、時価総額は18.4億円と小粒な分動意づいた時の爆発力も凄まじく、正に夢を買う感覚で乗ってみるのも酔狂だろう。
無論、今後突如として何らかの悪材料が出現したり地政学リスク等に見舞われて株価暴落が起こらない保証は一切無い点は言うに及ばない。